大阪がメディアに出てくると必ず道頓堀なのはなぜ?
大阪がメディアに出てくるときって、大体いつも道頓堀か新世界ですよね。
少なくとも東京メディアに、梅田やOBPの高層ビル群がドーンと登場したり、中之島の都市的な景観が映し出されることは基本ありません。
カオスな感じの街で、カオスな見た目のおばちゃんが大きな声で喋ってる。それが大阪のステレオタイプなイメージとして全国的に定着しています。
なぜそんな事になってるんでしょうか?
よくネットには「東京は大阪が嫌いだから、“カッコイイ大阪”のイメージを意図的に全国に流さないようにしている!」とか書かれてたりします。
僕も昔はそれを信じていました。
でもここ数年、こうやってブログを始めてコンテンツを作っていると、考えが変わってきたんです。
東京メディアがミナミばっかり使いたくなる気持ちが今は分かるんですよ。
今回はそれについて書いていきます。
道頓堀は大多数の大阪人にとって「大阪らしい場所」じゃない
写真は大阪でいちばん有名な景色とも言える、グリコの看板。
このグリコの看板がある道頓堀の一帯は、関西以外の人が想像する「ステレオタイプの大阪」そのまんまの場所で、とにかく町中がド派手です。
観光客にとってはこの場所こそが大阪らしさを感じられる場所で、テンションが上がるスポットだと思うんですが、
多くの大阪人(特に北摂の人)にとって道頓堀は全くそんな場所ではありません。
こんなド派手な世界で日常的に生活してる大阪人なんてごく一部だし、そんな道頓堀が大阪のイメージとして定着してる事を迷惑に思っている人たちもたくさんいます。
特徴的な風景のほうが都合がいい?
だって地元をメディアで紹介してもらうなら、普通はその町の一番イメージのいい所を映してほしいじゃないですか。
特に大阪のような大都市だと、高層ビルが立ち並ぶ様子や、洒落た街並みなど「大都市らしい姿」を映してほしいと思うのは当然ですよね。
でも残念ながらコンテンツを作る側はそういう風には考えないんですよ。
作り手としては、少しでもその街が持つ個性を活かしたくなるので「カッコいい風景」よりも「特徴的な風景」を使いたくなるんです。
例えば東南アジアのタイを紹介するコンテンツだったら
洗練された高層ビルの写真もカッコよくていいんですが、それよりも
こんな感じの写真の方が、コンテンツを作る側としては「おっ、これ使おうかな」となります。
だってこっちのほうがインパクトがあるでしょ??それに何と言ってもこの写真すごくタイっぽいですよね。
現地のタイ人もそう思うかは分かりませんが、少なくとも日本人の目から見てこの建物はタイっぽく映るはずです。
それに対して1枚目の高層ビルの写真はどうでしょうか。
洗練はされてるものの個性が弱いので、パッと見でどこの景色か分からないですよね。アメリカと言われれば信じてしまうレベルです。
別にこの写真を使うと読者が混乱する!とかそういう事はないと思います。でもわざわざこんなタイっぽくないものを使おうとは普通思わないんですよ。
例えそれが現地の人にとって日常的な風景だったとしても。
イメージ画像には多少ステレオタイプが入った“無難な画像”が最適なんです。
「大阪=ミナミ」は無難な選択がくりかえされた結果
東京メディアが道頓堀や新世界の映像を使うのも、たぶん同じような理由のはずです。
ミナミのド派手な街並みは「首都東京とは違う文化を持った西の大都市・大阪」をイメージする映像として、とても都合がいいんですよ。
梅田や中之島の景色はミナミに比べて上品でカッコイイんですが、個性が弱いので、大阪をイメージできる「無難な風景」としては使いづらいんです。
例えば大阪の話をするときに
こんな写真を出されても、どこなのかサッパリ分からないですよね。
「東京の天王洲アイルのほうのビル群だよ」と言われても信じてしまうレベルです。(中之島の風景です)
東京メディアがミナミの風景ばかり流すから知られてないだけだ!という見方も一応出来なくはないです。
でもさすがにこの景色は大阪ならではの特徴がほとんどないので、“無難な写真”にはなり得ないでしょう。
こういう東京と変わらない風景を「大阪の風景」として定着させるよりも、
大阪にしかない道頓堀のような景色を定着させるほうが簡単だし、観るほうにとっても分かりやすいんです。
そんな“無難な選択”がくり返された結果、今の「大阪=ミナミ」というのが出来上がった。
そう思うんですがどうでしょうか?
「東京は大阪が嫌い」はウソ?
冒頭で「東京は大阪が嫌いだから、意図的に大阪の悪いイメージを全国に広めている!」というのを紹介しましたが、これも僕は違うと思うんですよ。
「東京」という言葉が誰を指してるのか不明ですが、それが「東京の一般人」を指してるんであれば、大阪を嫌ってるのは東京人全体のほんの一部だと思います。
東京の大多数の人は大阪が「嫌い」なんじゃなくて「興味がない」んです。
大阪の観光地に興味がある人はたくさんいるはずですが、
大阪の「街そのもの」に興味がある人はかなり少数派だと思います。
だって考えてみて下さいよ、東京と大阪って500キロぐらい離れてるんですよ?
日本最大の都市に住んでる人が、500キロ彼方の“大きめの街”の規模なんか気にするわけないじゃないですか。
大阪の人だって、名古屋とか福岡の街がいかに発展してるかなんて興味ないでしょ?でも観光地には興味がある。それと一緒です。
「観光地への興味」は距離が離れていても関係ないですが、「街そのものへの興味」は距離が離れている場合、今住んでる街より大きいかどうかが重要になってくるんです。
だから東京メディアが映す大阪は、観光要素が強いミナミばかりになる。
これも「大阪=ミナミ問題」の大きな理由の一つだと思います。
まとめ
ここまで持論をつらつらと書いてきましたが、短くまとめると
- ミナミは特徴的なので「首都東京とは違う文化を持った西の大都市」をイメージするのに“都合がいい”
- よほど特別な街じゃない限り、500キロも彼方から「観光以外の部分」に注目してもらうのは難しい
- 東京は大阪が「嫌い」なんじゃなくて、観光以外の部分に「興味がない」だけ。
そんな話でした。東京と大阪の都市規模の比較に関してはこの記事で
関西弁と標準語の比較はこの記事で
色々書いてるので、ぜひ読んでみて下さい。 今回は以上です。
おまけ
東京と大阪のノリの違いは、ほぼ言葉の違いだ!っていう動画。